メンタルヘルスとは?メンタルヘルスケアの重要性と職場での対策

職場で役立つ疲労とストレスコラム

現代の職場では、多くの労働者が深刻な不安や悩み、ストレスを抱えています。これらはメンタルヘルスの問題として現れ、仕事や生活全般に影響を及ぼすことがあります。メンタルヘルスのケアを怠ると、生産性の低下、職場の人間関係の悪化、退職や休職などの問題が発生する可能性があります。企業は、このような状況に対する適切な対策を講じることが求められているのです。
メンタルヘルスの問題の症状とその原因について簡単に触れ、対策について詳しく解説します。
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この記事のポイント

  • メンタルヘルスとは心の健康を指す言葉。過度の疲労やストレスはメンタルヘルスを危険にさらす。
  • メンタルヘルス不調とは心の健康が乱れ、睡眠不足や食欲不振、強い疲労感などの症状が現れる状態。
  • 良好なメンタルヘルスは生産性を向上させ、リスクを低減し、従業員の健康と幸福の維持につながる。
  • メンタルヘルス対策は3本の柱と、4つのケアで実践する。

1. メンタルヘルスとは?

メンタルヘルスは、心の健康、つまり精神的な健康を指す言葉です。世界保健機関(WHO)では「すべての個人が自らの可能性を認識し、生命の通常のストレスに対処し、生産的かつ効果的に働き、コミュニティに貢献することができる健全な状態」と定義しています(出展:日本看護協会「所信声明」)。これには、自分の感情を適切にコントロールする能力、ストレスに対する適切な対応力(レジリエンス)、人間関係を円滑に保つコミュニケーションスキルなどが含まれます。

長時間労働、人間関係からくるストレス、適切な休息やリラクゼーションの欠如などの過度な疲れやストレスは、メンタルヘルスの問題を引き起こすおそれがあります。

2. メンタルヘルス不調の症状とその原因

メンタルヘルス不調とは心の健康が乱れる状態を指す言葉です。

メンタルヘルス不調の症状には、睡眠障害、不安・抑うつ、食欲不振、強い疲労感などが挙げられます。これらの症状の予兆として、出勤時刻の変化、欠勤・遅刻率の上昇、以前と比較して会話が減った、仕事でのミスが増えた、といった症状が現れるようになります。メンタルヘルス不調の原因は多岐にわたり、過重労働、人間関係のストレス、生活習慣の乱れなどが考えられます。

これらの予兆や症状が現れた場合、または原因が存在する場合は、メンタルヘルス不調になるおそれがあります。メンタルヘルス不調は、仕事でのミスの増加や休職・退職など、不調者本人のみならず、企業の活動にも影響を与える事態につながる場合があるため、適切な対策が求められます。

3. メンタルヘルスケアの重要性

厚生労働省が発行する冊子『職場における心の健康づくり』の「労働者の心の健康に関する現状」に、「業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症し、あるいは自殺したとして労災認定が行われる事案が近年増加し、社会的にも関心を集めています。」とあるように、近年、メンタルヘルスケアへの社会的関心は高くなっています。メンタルヘルスケアとは、「全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすること、およびそのような活動が円滑に実践されるような仕組みを作り、実践すること」です(厚生労働省 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳「3 メンタルヘルスケアとその実践の意義」より引用)。
職場でのメンタルヘルスケアの重要性は以下のような点になります。

(1)生産性向上のため

メンタルヘルスが良好な状態であれば、従業員の仕事の効率やクオリティが向上します。逆に、メンタルヘルスが不調であれば、仕事のパフォーマンスが低下し組織全体の生産性に影響を及ぼします。

(2)持続的な事業運営、成長のため

従業員一人ひとりが心身ともに健康であり、それぞれがメンタルヘルスに関しての基本的な知識を持ち、相互に実践していく仕組みを作ることは、持続的な事業運営を可能にし、事業の成長にもつながります。

(3)リスクへの対策のため

メンタルヘルスの不調からくる作業ミスは、思わぬ重大事に発展する可能性も含んでいます。また、メンタルヘルスの不調に起因する休職や離職が増加すれば、事業運営に影響が出るだけでなく、従業員の健康管理に問題がある企業と見られてしまいます。そういったリスクへの対策のひとつとしても、メンタルヘルスケアに取り組むことは重要といえます。

では、メンタルヘルスケアに取り組むためにはどのような対策が必要なのでしょうか。

4. メンタルヘルス対策の方法

厚生労働省は、メンタルヘルス対策のポイントとして、「3本の柱」と「4つのケア」を実施することが重要と伝えています。メンタルヘルス対策は、職場におけるメンタルヘルスケアを効果的に推進するための取り組みのことです。

3本の柱とは

「3本の柱」では、メンタルヘルス対策を目的別に三段階に分類しています。それぞれ以下に紹介します。

  1. 一次予防:未然に防ぐ
    従業員向けのストレスマネジメント研修や情報提供を実施し、従業員の理解と意識を高めます。また、過重労働やパワハラなどの状況把握と改善などを実施します。
  2. 二次予防:早期発見と適切な対応
    上司への相談機会の設置や、産業保健スタッフなどと相談できる窓口の設置など、従業員が気軽に相談できる環境を整備し、メンタルヘルス不調を早期に発見します。
  3. 三次予防:職場復帰支援
    メンタルヘルス不調と診断され、休業している従業員の復帰を支援するための取り組みで、職場復帰支援プログラムの策定や実施、復帰後のフォローアップなどを行います。主治医とも連携しながら慎重に取り組む必要があります。

4つのケアとは

「3本の柱」に分類されるそれぞれの予防策を実行する際は、厚生労働省が指針として示している「4つのケア」を用いて、継続的かつ計画的に行うのが理想的です。

  1. セルフケア
    管理職も含め、従業員自身が自分のメンタルヘルスを管理するための取り組みです。ストレスマネジメント研修の実施による理解の促進や、自己チェックツールを導入し、活用を促します。
  2. ラインによるケア
    管理職が部下のメンタルヘルスを支援するための取り組みです。管理者自身がメンタルヘルスへの理解を深めるため、メンタルヘルス研修を受講したり、部下とのコミュニケーションによってメンタルヘルス不調にいちはやく気づけるように行動したりすることなどが必要になります。
  3. 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
    産業医や保健師などの専門家が従業員のメンタルヘルスを支援するための取り組みです。メンタルヘルスに関する相談対応や、復職支援プログラムなどを企画、実施します。
  4. 事業場外資源によるケア
    事業場外の機関や専門家が従業員のメンタルヘルスを支援するための取り組みです。専門的なカウンセリングを受けられるように外部の専門家と連携し、情報共有や助言、治療などを行います。

以上のように、メンタルヘルス対策はポイントを抑えながら、計画的に実行していくことが必要となります。従業員とも対話を重ねながら進めていくとよいでしょう。

5. まとめ

メンタルヘルスの不調は、生産性低下を引き起こし、業務上の事故やトラブル発生のリスクを増加させるため、適切にケアするための対策をとっていくことは非常に重要です。しかし、メンタルヘルスは定量的に把握するのが難しく、効果が見えづらいという側面もあります。定量評価のための、セルフチェックツールや、疲労やストレスのデジタル計測ツールなどもあるので、ぜひこのようなツールを活用しながら職場のメンタルヘルスケアに取り組んでみてください。

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また、管理者および経営者による、メンタルヘルス対策の効果検証もしやすくなるだけでなく、医師監修の評価基準によって客観的に判断・可視化されたデータにより、従業員同士でメンタルヘルスの状況について把握し、コミュニケーションをとるきっかけとしても活用できます。

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