疲労とは?労働者の疲労の原因や疲労蓄積度のチェック方法

職場で役立つ疲労とストレスコラム

「疲労」と一口に言っても、その形は多種多様です。肉体的な疲労感、精神的な疲労感、それぞれが私たちの生活に深く影響を与えます。また、その原因や感じ方は人それぞれで異なり、一様ではありません。労働者が自分の疲労感を理解し適切に対処することは、経営者にとっても生産性の低下を防ぎ業務の維持、および休職・離職を防止し労働力を確保する観点から重要といえます。
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この記事のポイント

  • 疲労は心身の疲れ、ストレスは困難な状況への反応。ストレスは疲労を引き起こす。
  • 疲労の主な原因は、過剰な労働、ストレス、睡眠・栄養不足、デジタル機器の使い過ぎなど。
  • 疲労が蓄積すると、頭痛、胃痛、肩こり、食欲不振などの症状が現れ、仕事にも影響する。
  • 疲労を回復する効果的な方法は適度な休息・バランスの良い食事・栄養補給、適度な運動、リラクゼーションなど。
  • 疲労度の確認方法には、自己評価、疲労ストレス計の利用、医療機関でのチェックがある。

1. 疲労とは?

日本疲労学会では、「疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である」と定義しています。(日本疲労学会「抗疲労臨床評価ガイドライン」4ページより引用)

一方、ストレスは、「外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のこと」とされています。その原因となる外的刺激(ストレッサー)とそれに対する私たちの心身の反応(ストレス反応)とを合わせてストレスと呼ぶこともあります。

疲労とストレスの違いは、疲労が主に身体の活動能力の減退を指すのに対して、ストレスは困難な状況に対する心身の反応を指す点にあるといえます。つまり、疲労は身体的または精神的な活動の結果として生じますが、ストレスは外部の刺激や困難な状況に対する反応として生まれるのです。(厚生労働省『e-ヘルスネット』 健康用語辞典「ストレス」のページより引用)

「疲労とストレス」は密接に関連しており、ストレスに上手に対処できず長期化させてしまうと、疲労を引き起こしやすくなります。

2. 疲労の原因

昨今の少子高齢化による人手不足により、企業にとっても生産性向上や持続可能な活動が大きな経営課題となっています。疲労の原因として、こうした課題に対応する労働者に大きな負荷がかかっていることが挙げられます。具体的には次のような点です。

過剰な労働

過剰な労働は、疲労の最も一般的な原因のひとつです。長時間労働は体を疲弊させ、疲労が蓄積します。

ストレス

ストレスは疲労の大きな要因となります。職場のプレッシャーや人間関係の問題など、さまざまな要因によりストレスが生じ、疲労を引き起こします。

睡眠不足

体を休息させ、エネルギーを再生するためには十分な睡眠が必要です。睡眠時間が不足すると、体は溜まった疲労を取り除くことができません。

栄養素の欠如

ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足すると、体の機能が低下し、疲労を感じやすくなります。

デジタル機器の使い過ぎ

デジタル機器を長時間使用し、同じ姿勢が継続することによって、肩こりや首のこり、目の疲れ、腰痛の原因となることがあります。身体疲労だけではなく、インターネットからの情報過多により脳の処理能力が低下することによって、精神疲労を招くこともあります。

3. 事業活動にも影響する疲労による症状

疲労が蓄積すると業務のミスが増え仕事の質が下がり、最悪の場合、事業活動にも影響を及ぼす事故を引き起こすリスクが生じる可能性があります。経営者にとっても、事業に対する社会的信用を損なう大きな問題になりうるのです。疲労が引き起こす代表的な症状には以下のようなものがありますので、確認しておきましょう。

身体的な疲労が引き起こす症状

身体的な疲労は、重いものを運ぶ重労働をした時など、体を動かすことによって生じる疲労です。身体的疲労が蓄積すると、筋肉痛になるなどの症状が現れます。疲労が慢性化すると、睡眠障害や気力の低下などにつながることもあり、業務のミスが発生しやすくなるなど、仕事に支障をきたすようになるおそれがあります。

精神的な疲労が引き起こす症状

精神的な疲労は、人間関係や家庭・仕事の悩み、仕事で頭を使いすぎるといったことによるストレスによって生じる疲労です。集中力が低下したり、イライラしやすくなったりするといった兆候が現れ、適切に解消できないと、頭痛、胃痛、肩こり、食欲不振といった症状につながります。症状が重いと、仕事に普段通りに取り組めず、仕事を休まなくてはならなくなる場合もあります。

病的な疲労にも注意

病的な疲労は、さまざまな疾患が原因となる疲労で、生活の中での休息だけでは回復させることが難しい疲労です。進行すると重大化する病気もありますので、異常を感じたら、早めに医師の診察を受けましょう。

以上のような疲労を放置すると、本人だけでなく企業にとってもリスクを抱えるおそれがありますので、早期に対策を図ることが望まれます。

4. 疲労を回復する効果的な方法

疲労を効果的に回復させるための具体的な方法について説明します。

適度な休息を確保する

適度な休息は、疲労回復の最も基本的な手段です。通常の疲労は、十分な睡眠をとることで自然に回復します。また、意識的に休憩時間を設けることで、一時的な疲労を軽減することができます。

バランスの良い食事をとる

1日3食のバランスのとれた食事をとり、眠る3時間前に食事は済ませるようにしましょう。必須栄養素を過不足なくとることは健康維持および疲労回復に有効です。

適度な運動をする

日本人の平均座位時間は、7時間で世界最長といわれています。長時間の座位により血流や筋肉の代謝が低下するだけではなく、心筋梗塞、脳血管疾患など多くの疾患リスクが高まります。適度な運動は、血行を良くし、疲労物質の排出を促進します。
(出典:スポーツ庁 『Web広報マガジン DEPORTARE』「日本人の座位時間は世界最長「7」時間!座りすぎが健康リスクを高める あなたは大丈夫?その対策とは・・・」内の情報を元に作成)

リラクゼーションを行う

マッサージやアロマテラピー、ヨガや瞑想などのリラクゼーション法は、心身の緊張を和らげ、疲労を軽減します。

医療機関での相談

疲労が長期間続く場合や、重度の疲労を感じる場合は、医療機関に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、適切な疲労回復法を見つけることができます。

5. 疲労度チェックの最適な方法

労働安全衛生法の改正により、2015年12月以降、常時50名以上の労働者を使用する事業場では、「ストレスチェック」の実施が義務化されました。この制度は、労働者の心理的な負担の程度を把握するためのもので、労働者が自己のストレスの状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることを目指しています。

ストレスは心身のバランスを乱す要因のひとつであり、これが蓄積すると疲労となります。

疲労度を確認する方法は、「自己評価」と「医療機関でのチェック」があります。

自己評価(セルフチェック)

自覚症状や勤務状況を日常的に観察し、自身の生活を振り返ることで、疲労の兆候を見つけることができます。例えば、「今日はいつもより疲れているか?」「頭痛や肩こりがあるか?」などを自分自身に問いかけることが有効です。自分で正確に疲労度を分析することが難しい場合は、以下のようなサイトのセルフチェックを利用するのもいいでしょう。
厚生労働省 働く人の疲労蓄積度セルフチェック(働く人用)(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト 「こころの耳」より)

ただし、セルフチェックはどうしても主観的な判断しかできないというデメリットがあります。そのため、より精度の高いチェック手段が求められています。

医療機関でのチェック

定期的に医療機関で健康診断を受けることも、疲労度をチェックするひとつの方法です。血液検査などを通じて、体の状態を評価します。正確なデータを得ることができますが、チェックのたびに費用が発生してしまう、即座に結果がわからない、というデメリットがあります。

なお、多様なストレスによって引き起こされる精神的疲労については、労働安全衛生法の改正により、2015年12月以降、常時50名以上の労働者を使用する事業場では、「ストレスチェック」の実施が義務化されました。この制度は、労働者の心理的な負担の程度を把握するためのものです。

6. まとめ

以上のように、疲労が蓄積すると、日常生活だけでなく、仕事にも大きな影響を及ぼす可能性があります。疲労度チェックによって従業員の状態を把握することで、早期に対策がとれるようになります。「疲労による不調のない社会」を目指すためにも、定期的な疲労度チェックを実践することが大切です。

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疲労ストレス計MF100とタブレット・スマートフォンの画像

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