クラスターおよびシングル細胞の分画~CTC研究への応用~

CELLNETTA用途事例

血液中を循環している循環がん細胞(CTC)には、1細胞(シングル)の状態と複数の細胞が集まったクラスターな状態が存在し、2つの状態でがんの転移能に違いがあることに注目が集まっています。
今回、熊本大学大学院生命科学研究部臨床病態解析学講座前城学先生、神力悟准教授(※2019年10月時点)が行った、流体剪断応力を加えた浮遊培養で調整した模擬的なシングルおよびクラスターCTCをCELLNETTAで分画した事例をご紹介します。

※CELLNETTAで分画したクラスターの構成細胞は、マウス血中で効率的にCTCクラスターを形成することが示されています。 (Maeshiro,M.,Shinriki,S.,Liu,R.etal.Colonizationofdistantorgansbytumorcellsgeneratingcirculatinghomotypicclustersadaptivetofluidshearstress.SciRep11,6150(2021). doi:10.1038/s41598-021-85743-z)

実施方法

【CELLNETTAによる処理方法】

  1. 3.0×106個のヒト口腔扁平上皮癌細胞株(SAS)を培地15 mL中(15 mL遠心管)で旋回浮遊培養する。
  2. CELLNETTAを親水化処理する。※1
  3. 2.0×105個未満/回になるように細胞懸濁液をメッシュサイズ20 µmのCELLNETTAで処理する。
  4. CELLNETTAで捕獲された細胞を、逆洗によって回収する。
  5. ②~③を5回繰り返して、細胞懸濁液を全量処理する。
  6. 全フロースルーを回収・混合し、さらに②~④と同様に5回に分けてメッシュサイズ15 µmのCELLNETTAで処理する。

【解析方法】

CELLNETTAのメッシュ部を顕微鏡で撮影(×100)し、メッシュで捕獲されたクラスターおよびシングル細胞の数を測定する。
A、B、Cにおいて、それぞれ5視野ずつ評価し(図1)、その平均を算出する。
フロースルーに関しても同様に解析を行い、メッシュサイズ20 µmは3視野、15 µmは1視野を評価する。

図1:CELLNETTAによる操作手順
図1: CELLNETTAによる操作手順

※1 詳細は、CELLNETTAのユーザーガイド「親水化マニュアル」をご覧ください。

結果

メッシュサイズ20 µmで捕獲された細胞のクラスター存在率は約78%でした(図2A)
一方、フロースルーにも約34%のクラスターの混入が認められ、その多くはダブレットでした(図2B)
シングル細胞を純度よく回収するため、続いてフロースルーをメッシュサイズ15 µmで処理しました。
その結果、フロースルーにクラスターは約4%しか認めず、ほぼ全てシングル細胞でした(図2C)
なお、メッシュサイズ20 µmで捕獲したクラスター細胞を再培養したところ、細胞接着及び増殖に問題は見当たりませんでした(図3)

以上の結果から、メッシュサイズ20 µmで捕獲された細胞およびメッシュサイズ15 µmのフロースルー中の細胞は、それぞれクラスターとシングル細胞として解析するのに適していると考えられました。

(A)メッシュサイズ20 µmで捕獲した細胞 クラスター、シングル
(A)
(B)メッシュサイズ20 µmのフロースルー クラスター、シングル
(B)
(C)メッシュサイズ15 µmのフロースルー クラスター、シングル
(C)
図2: 各操作で得られた細胞の顕微鏡写真およびクラスター存在率。旋回浮遊培養12時間後にメッシュサイズ20 µmで捕獲された細胞のクラスター存在率は約75%であり、メッシュサイズ15 µmのフロースルーにはクラスター細胞が約4%とほぼ全てシングル細胞でした。クラスター存在率(%)=100×(クラスター)/(シングル細胞+クラスター)スケールバーは100 µm。 (A)メッシュサイズ20 µmで捕獲した細胞 (B)メッシュサイズ20 µmのフロースルー (C)メッシュサイズ15 µmのフロースルー
1日目
1日目
2日目
2日目
図3: 旋回浮遊培養3時間後にメッシュサイズ20 µmで捕獲したクラスター細胞の再培養後の様子。
細胞接着および増殖に問題は見当たりませんでした。スケールバーは100 µm。

使用したCELLNETTA

メッシュサイズ ガンマ線照射 梱包数量 品番
15 µm 1 MZM1B015B50GA
5 MZM1B015B50GB
20 µm 1 MZM1B020B50GA
5 MZM1B020B50GB

注意事項

  • ・本品は医療機器ではありません。

CELLNETTAの詳細情報

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細胞向け分画フィルタ CELLNETTA MZM1シリーズの画像
  • 50 ml遠沈管に適合
  • 個包装
  • 国内製造
  • ガンマ線照射済み
フリックしてご覧ください。
50 ml遠沈管適合サイズ
メッシュサイズ(µm) 梱包数量 品番 事例
5 1 MZM1B005B50GA 細胞懸濁液からの培養液の精製 全血・PBMCからの赤血球除去
5 MZM1B005B50GB
10 1 MZM1B010B50GA シングル細胞の精製
5 MZM1B010B50GB
15 1 MZM1B015B50GA クラスターおよびシングル細胞の分画
5 MZM1B015B50GB
20 1 MZM1B020B50GA クラスターおよびシングル細胞の分画
5 MZM1B020B50GB
100 1 MZM1B100B75GA 薬効試験におけるスフェロイドサイズの均一化
5 MZM1B100B75GB
200 1 MZM1B200B75GA マイクロキャリアビーズの分画 スフェロイドサイズの均一化
5 MZM1B200B75GB

※目的の細胞よりやや小さいメッシュサイズの使用を推奨しております。
用途やメッシュサイズの選定については、お気軽にお問い合わせください。

※細胞形状・流速条件等により、通過挙動は変化します。