職場のメンタルヘルス対策とは?対策を行う際のポイントと注意点

職場で役立つ疲労とストレスコラム

「職場のメンタルヘルス対策として何をしたらいい?」従業員の健康状態が気になりつつも、具体的なケアの方法や予防策がわからない人事担当者もいるでしょう。この記事では、職場で実践できるメンタルヘルス対策を紹介します。
メンタルヘルス不調になると、個人の仕事におけるパフォーマンスが低下し、生産性も低下します。職場で成果が出せなくなる従業員が増えれば、企業としてもダメージを受けるため、対策が必要です。正しいケアを実践し、従業員の健康を守りましょう。
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この記事のポイント

  • メンタルヘルス不調になると仕事の生産性が低下し、トラブルが起こる可能性があるため、ケアを行うことが重要。
  • メンタルヘルス不調をケアするためには、従業員が相談しやすい環境をつくり、異変に気づく必要がある。
  • 従業員のメンタルヘルス不調が判明したら、産業医・専門医療機関などと連携し、治療と仕事の両立ができるようサポートする必要がある。
  • 職場でメンタルヘルス対策をする場合は、個人情報保護を徹底し、安全配慮義務を守らなければならない。
  • メンタルヘルス不調を予防するためには、メンタルヘルス対策につながる研修の実施や職場環境の把握、ストレスチェックを行う必要がある。

1. 職場におけるメンタルヘルス対策とは?

メンタルヘルスとは、心の健康状態のことです。メンタルヘルスが良い状態の場合、穏やかな気持ちになったり、やる気が湧いてきたりします。一方で、メンタルヘルスの状態が悪くなると気持ちが落ち込んだり、判断力や集中力の低下が起こりやすくなったりします。そのため、職場においては仕事上のミスが多くなり、生産性が落ちてしまうケースもあります。

メンタルヘルスの不調を回復するためには、半年から一年以上の期間が必要になる場合があります。職場を休む期間が長くなると、従業員自身に焦る気持ちが募り、回復が遅れるケースもあります。企業側としては、適切な対策を講じることが必要です。

メンタルヘルス対策として重要なのは、従業員の心の不調にいち早く気づき、適切に対処することです。また、日々の生活を送るうえで予防に努めることも重要です。

2. 従業員のメンタルヘルス不調を早期に発見する

従業員のメンタルヘルス不調をケアするためには、心の異変に気づくことが重要です。そのためには、職場における適切な環境づくりが求められます。従業員のメンタルヘルスを良好に保つ一環として、早期に以下の対策を実践しましょう。

メンタルヘルス不調の高リスク者を確認する

従業員のメンタルヘルスの問題を解決するためには、メンタルヘルス不調のサインを把握し、高リスク者の有無を確認することが大切です。職場において、以下の項目に該当する従業員がいないかチェックしましょう。

  • 業務の中で大きな失敗をした
  • 杓子定規に考え、融通がききにくい
  • 職場での役割や仕事内容が大きく変わった
  • 残業時間が多く、長時間労働が続いている
  • 私生活で家族構成や住環境が大きく変わった
  • 仕事にのめり込んでいるが成果を上げられない
  • 悩みを周囲の人に相談せず一人で抱え込んでいる
  • 困難な仕事を抱えつつも裁量権が与えられていない

上記に該当する従業員は、メンタルヘルス不調を抱えている可能性があります。次に、メンタルヘルス不調を抱えている従業員を把握する方法を説明します。

従業員が相談しやすい環境をつくる

従業員のメンタルヘルス不調を早期に発見するためには、企業側が相談しやすい環境をつくることが重要です。たとえば、従業員が日常的に相談しやすい雰囲気をつくるために、上司である管理監督者が部下とコミュニケーションを取る必要があります。会話をする際は、表情や態度などに異変がないか注目してみましょう。部下の様子がいつもと違う場合は、早めに声をかけ、積極的に話を聞いてみてください。

社内外に相談窓口を設置する

相談窓口を設置すると、従業員が相談しやすくなり、メンタルヘルス不調の早期発見がスムーズになります。ただ、社内の相談窓口に抵抗を感じる従業員もいるため、社外にも相談窓口を設置することが重要です。その際は、メンタルヘルスサービス機関と契約しておくと、EAP(従業員支援プログラム)の相談室を利用することができます。EAPの相談室では、医療や健康の専門家が相談に対応してくれます。

3. 従業員のメンタルヘルス不調に対応する

従業員のメンタルヘルス不調が判明した場合、企業側が回復へ向かうようサポートを行うことが重要です。適切な対処ができれば、従業員が健康を取り戻しやすくなります。以下の内容を実践し、従業員のメンタルヘルス対策を進めましょう。

産業医・専門医療機関と連携する

メンタルヘルス不調の従業員がいた場合は、産業医や専門の医療機関などと連携しながら対応することが重要です。管理監督者だけでは、専門家と連携するのが難しい場合があります。そのため、産業保健スタッフ(※)に相談し、従業員の主な症状や職場での様子、抱えている悩みごとなどの情報を正確に共有することが大切です。その後、従業員の状況に合わせて精神科医や、専門の医療機関につなげてもらいましょう。

※産業保健スタッフ:産業医や衛生管理者、保健師などを指す。産業医と衛生管理者は労働者数50人以上の事業場で選任が義務付けられている。

治療と仕事の両立を支援する

従業員のメンタルヘルス不調が判明したものの、職場での就業が継続できる場合は、治療と仕事を両立できるようサポートすることが大切です。たとえば、従業員が避けるべき業務や時間外労働の制限の必要性に関し、主治医から意見をもらうことが重要です。そのうえで、従業員が働きやすいよう時短勤務などで、業務内容や業務量を調整しましょう。また、治療に専念してもらうために、定期的に休暇を取得できるよう支援することも求められます。

休職と復職に関する情報共有をする

従業員のメンタルヘルス不調が判明し、休職することになった場合、休職と復職に関する情報提供をすることが大切です。従業員が休職する前に、自宅での過ごし方や復職する際の手続きを記した書面を渡しておきましょう。また、休職中の連絡窓口や傷病手当金の支給申請をする際の方法などの情報も含めておきましょう。
従業員が職場復帰する流れとして、以下の情報を共有することも大切です。

  1. 従業員の職場復帰に対する意思の確認および産業医など主治医からの意見を収集する
  2. 従業員が職場復帰できるか、産業保健スタッフが中心となって判断する
  3. 職場復帰日や管理監督者による就業上配慮する内容などを記載した職場復帰支援プランを作成する

従業員がスムーズに復帰できるよう、人事担当者は産業保健スタッフと連携し、適切にサポートしましょう。

4. メンタルヘルス対策を進めるうえでのポイント

メンタルヘルス対策における具体的な取り組み方法を紹介してきましたが、広く大きく全体像として見た場合、効果的に進めるためのポイントが4つあります。

  1. メンタルヘルス対策に関する方針の表明
    まず、行いたいのがメンタルヘルス対策に関する方針の表明です。経営理念や経営方針にメンタルヘルス対策に取り組むことを明記するのも方法の一つです。企業としてメンタルヘルス対策に取り組むことを従業員に理解してもらい、経営層を巻き込んだ全社的な取組につなげていくことができるでしょう。
  2. メンタルヘルス対策に関する計画の策定・見直し
    メンタルヘルス対策が計画的・組織的に行われ、継続させていくためにも、労使の協議のもとメンタルヘルス対策の計画を策定することが効果的です。メンタルヘルス対策の効果評価(例:休職者数、傷病による退職件数など)を設定しておくのもおすすめです。新たに必要とされる対策の立案にも役立つでしょう。
  3. 事業場外資源の活用
    企業によっては、産業医や保健師などの専門職が常駐していないケースもあります。先述していますが、その場合は、産業医・専門医療機関と連携するなど、事業場外資源を有効に活用することが重要になります。定期的に従業員の健康管理についてアドバイスを受ける以外にも、メンタルヘルス対策社内規程の整備や研修を実施するなどの取組を進めることができたといった事例もあります。
  4. 関係者への理解・協力の呼びかけ
    メンタルヘルス対策を進めるために、顧客や関係者の理解・協力が必要になるケースもあります。そのような場合、対策を一緒に検討することをおすすめします。理解・協力を確保できるかもしれません。

参考:厚生労働省「メンタルヘルス対策のポイント

5. 職場でメンタルヘルス対策を行う際の注意点

職場で適切なメンタルヘルス対策を行う際に重要なのは、正しい方法で実行することです。誤った方法で進めてしまうと、従業員の負担が増えてしまい、復帰が難しくなる場合があります。従業員のメンタルヘルスをケアする際は、以下のポイントを押さえておきましょう。

個人情報保護を徹底する

労働安全衛生法104条【心身の状態に関する情報の取扱い】では、企業が労働者の心身の状態に関する情報を収集・保管・使用するときには、労働者の健康の確保に必要な範囲内で情報を収集し、収集した目的の範囲内で保管・使用すること。また、情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないことを記しています。
つまり、従業員の個人情報保護は企業として守るべき義務であり、メンタルヘルス対策をする際は、情報が外部に流出しないようにすることが重要です。従業員の病名や治療状況などが外部に漏れることがないよう適切に対応しましょう。

安全配慮義務を守る

従業員のメンタルヘルス対策をする際には、個人情報保護に加え、安全配慮義務を守ったうえで対応する必要があります。従業員の不安な気持ちに寄り添い、解決へ導くためには、対象者との面談が必要です。面談を実施する際は、以下の手順やポイントを守ったうえで話を進めましょう。

  1. 労働者は業務を遂行できるような健康状態を整える義務があり、管理監督者は従業員が業務を遂行できるよう問題解決することが求められている点を説明する
  2. 上記の点から最小限の情報開示を求め、健康上の問題がある場合は産業医などの専門家につなげる旨を説明する
  3. 収集した個人情報の取り扱いに関しては、外部に漏れることがないよう厳重に管理することを示す

上記の要点を意識し、従業員のメンタルヘルス対策につながるよう対策しましょう。

配転命令権を濫用しない

従業員がメンタルヘルス対策を行い、休職から復職する際、職場が変わる場合には、配置命令権の濫用にあたらないか注意が必要です。配置命令権とは、勤務地や職務内容を長期間にわたって変更する権利です。使用者が従業員の配置転換を命じるためには、労働契約上の根拠が必要です。従業員の配置転換に関し、動機や目的に正当性がない場合、配置命令権の濫用にあたる可能性があります。やむを得ず従業員の配置転換を指示する場合は、従業員に対して業務上の必要性を明確に示したうえで対応しましょう。

6. 従業員のメンタルヘルス不調を予防することも大切

従業員のメンタルヘルスケアの範囲は、不調を抱える人への対応だけではありません。メンタルヘルス不調を未然に防ぐためには、メンタルヘルスケアの研修や情報共有を行ったり、ストレスチェックを実行することも重要です。

メンタルヘルスケアの研修や情報共有を行う

職場内でメンタルヘルスケアの研修や情報提供を行うことで、従業員が正しい知識を習得でき、予防につながります。一般社員や管理監督者など、それぞれの職務に応じた研修や情報提供を実施することで、より効果が期待できるでしょう。
たとえば、従業員自身がメンタルヘルスケアを実践できるようになることを目的とした「セルフケア研修」や、管理監督者が部下と接する際のポイントをまとめた「ラインケア研修」などがあります。職場の従業員全員がメンタルヘルスケアに関する情報を共有できるよう、適切な研修を実施していきましょう。

詳しく知りたい方はこちらの記事もお読みください。
メンタルヘルスとは?不調の要因やサイン、ケアの方法を解説

ストレスチェックを行う

従業員のメンタルヘルス不調を予防するためには、ストレス対策が重要です。そのために有効なのがストレスチェックです。ストレスチェックとは、従業員自身がストレス度合いに気づき、セルフケアの実施や医師の面接指導を受けるために行う検査です。ストレスチェックをする際は、主に以下の手順で進めましょう。

  1. 導入前の準備:実施方法など社内ルールの策定を行います。具体的には、ストレスチェックの実施体制を整えるために、ストレスチェック制度の担当者や実施者などを決めます
  2. 調査票の配布・記入:ストレスの原因やストレスによる心身の自覚症状などに関する質問項目を入れた質問票を配布し、記入してもらいます
  3. ストレス状況の評価:回収した質問票をもとにストレスの程度を評価します
  4. 本人に結果を通知する:ストレスチェックの結果やセルフケアのためのアドバイスなどを共有します

ただ、ストレスチェックは、従業員自身が質問票に主観的な回答をしてしまう点や、データの蓄積や共有ができず管理者が変化に気づきにくいという課題があります。

従業員のストレス度を計測し、視覚的に確認できる「疲労ストレス計 MF100」

「疲労ストレス計 MF100」は、自分のストレス心拍の変動から自律神経機能の偏差値とバランスを評価することで、「疲労・ストレス度」を可視化。目に見えないストレスを可視化するため、測定者本人の感じる疲労感とのズレも把握できます。
また、WEB上での簡単分析やデータ分析機能があるため、産業医などの管理者、健康経営に取り組む経営者にとって効果の検証がしやすく、職場環境の改善につなげることが可能になります。

疲労ストレス計 MF100とタブレット・スマートフォンの画像

7. まとめ

従業員がメンタルヘルス不調にならないようにするためには、職場で相談しやすい環境をつくり、従業員の変化に気づく体制をつくることが重要です。また、社内外に相談窓口を設置し、産業医や専門医療機関などと連携することも求められます。

メンタルヘルス対策を行うことで、従業員自身の生産性の向上、失業者の増加を防止など、企業の業績アップにつながります。定期的に職場環境を調査する、ストレスチェックを行うなどして、従業員のメンタルヘルス対策を継続していきましょう。

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