ストレスとは?原因や症状、職場でできるストレスの予防対策と解消法

職場で役立つ疲労とストレスコラム

厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活において、「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」と回答した労働者の割合は、82.7%となっています。(※厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(個人調査)」より)
これまで「労働安全衛生法」では、常時50人以上の労働者を使用する事業場で毎年1回ストレスチェックをすることを義務づけていました。しかし、2024年10月10日(木)開催の「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」において、厚生労働省は労働者50名未満の小規模事業所に対しても、ストレスチェックを義務づける方針を決めました。
このような背景からも、企業の従業員のストレスケアに対する責任は大きくなっています。企業が生産性を向上させるためには、従業員のストレスを軽減し、働きやすい人間関係づくりや職場づくりを行うことが重要です。この記事では、職場におけるストレスの原因や症状、予防やストレス解消のためのポイントを紹介します。
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この記事のポイント

  • ストレスとは、「外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応」のこと。
  • ストレッサーは、仕事や家庭、人間関係といったさまざまな要素に関わる。
  • ストレス反応は心理面、身体面、行動面の3つに現れる。
  • 職場におけるストレスの原因は、仕事の責任や量、質などが関係する。
  • ストレスの症状や従業員の変化に早めに気づき、対処しないと、病気になることもある。
  • 職場でストレスを予防したり、解消したりできる仕組みづくりが重要。

1. ストレスとは?

ストレスとは「外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のこと」をいいます(参照:「厚生労働省e-ヘルスネット」)。また、ストレス反応を引き起こす外部からの刺激のことをストレッサーと呼びますが、多くの場合は、ストレッサーと心身の反応(ストレス反応)とを合わせて「ストレス」と表現します。

ストレッサーとは

ストレッサーとは、ストレスを引き起こす原因となる刺激です。主に以下の種類に分けられます。

  • 物理的ストレッサー:暑さ、寒さ、騒音、光、混雑など
  • 化学的ストレッサー:たばこの煙、食品添加物、公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など
  • 生物的ストレッサー:炎症、感染、病気、飢え、睡眠不足など
  • 心理的・社会的ストレッサー:人間関係の葛藤、社会的行動にともなう責任、将来に対する不安、職場や家庭における不安・緊張・恐怖・怒りなど

普段、私たちがストレスと呼んでいるもののほとんどは、心理的・社会的ストレッサーによるものを指しています。

2. ストレス反応の種類

ストレス反応とは、強いストレッサーを受けた時や、長時間ストレッサーの刺激を受けた場合に生じる生体反応です。ストレッサーに対する自然な適応反応と考えられており、「心理面」「身体面」「行動面」それぞれに現れます。主なストレス反応を紹介しますが、ストレッサーに対する個人のストレス耐性には個人差があります。また、ストレス反応として現れる症状にも個人差があります。

心理面に現れるストレス反応

心理面に現れるストレス反応は、まず情緒的反応が現れ、さらに、心理的機能の変化が障害として現れることがあります。

[情緒的反応]

  • 不安、イライラ
  • 恐怖、落ち込み
  • 怒り
  • 孤独感 など

[心理的機能の変化]

  • 集中力の低下
  • 思考力の低下
  • 短期記憶喪失
  • 決断力の低下 など

行動面に現れるストレス反応

上記で紹介した心理面のストレス反応は、行動面の変化としても現れることがあります。

  • 怒りの爆発
  • 泣く
  • 引きこもり
  • 過食や拒食
  • お酒やたばこの量が増える
  • ストレス場面からの回避行動 など

身体面に現れるストレス反応

身体面での主なストレス反応には、頭痛・腹痛をはじめ、次のように全身にわたる症状が現れるケースもあります。

  • 頭痛
  • 肩こり
  • めまい
  • 動悸
  • 食欲の減退
  • 便秘
  • 下痢
  • 不眠
  • 異常な発熱
  • 疲労感
  • のぼせ
  • しびれ

「心理面」「身体面」「行動面」に現れるストレス反応例を紹介しましたが、これらのストレス反応は、相互にも影響することがあります。(例:イライラ→過食→腹痛→引きこもり→運動不足→不眠→不安)

3. 職場におけるストレスの原因

ストレスの原因のうち、「心理的・社会的ストレッサー」には、仕事が関係しているものが多くあります。たとえば、以下のような原因が挙げられます。

  • 仕事の失敗、責任の発生など
  • 仕事の量
  • 仕事の質
  • 対人関係(セクハラ・パワハラを含む)
  • 顧客、取引先などからのクレーム

仕事を進める際や、関係づくりの際のコミュニケーションをとる際に、上記が要因となり、強い不安や悩み、ストレスを感じるケースがあるでしょう。また、社内だけでなく、社外とのやり取りの中でストレスを抱える方もいます。詳しくはこちらの記事を参照ください。

ストレスの原因はつらい出来事だけではない

ストレスの原因となるのはつらい出来事だけとは限りません。昇進や転勤・異動などでも環境の変化をともなうため、ストレスの原因となる場合があります。
また、職場環境だけではなく、たとえば、病気や怪我、結婚、夫婦や親子の関係に問題が生じると、ストレスが溜まりやすくなります。健康面や家庭環境といったさまざまな原因に基づく複合的なストレスが生じている場合、従業員にとっては大きな負担になります。

4. ストレスを溜めている従業員のサイン

職場で下記のストレスサインに当てはまる従業員がいる場合は、ストレスを抱えているかもしれません。

  • イライラしている・怒りっぽい
  • 遅刻や欠勤が増えている
  • 表情が暗く、元気がない
  • やる気がない
  • いつも眠そうにしている
  • 食欲がない様子である
  • 人付き合いを避けている
  • ヒヤリハットが増える

ヒヤリハットは、たとえば備品にぶつかる、転倒するなど、仕事をしていてもう少しで怪我をするところだった場面で使われる言葉です。さまざまな要因が重なって起こることもありますが、原因の一つには、メンタル面での不注意も挙げられます。

ストレスを溜めている従業員のサポート

このようなストレスサインが見受けられる場合、対象の従業員と面談を行う、コミュニケーションをとるなどして状態を確認する必要があります。必要に応じて休職してもらうなど、問題解決のためにサポートすることが重要です。
社内外の専門家への相談をすすめるのも方法の一つです。相談先の具体例としては、社内であれば心理職などの産業保健スタッフや衛生管理者、産業医や産業看護職が挙げられます。社外であれば、会社が契約しているEAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)が適していることもあります。

この他、公的機関では都道府県の労災病院における「心の耳電話相談」(または「心の電子メール相談」)や精神保健福祉センター、全国の保健所における「こころの健康相談」などの相談窓口が設けられています。

民間機関では日本産業カウンセラー協会による「働く人の悩みホットライン」や「いのちの電話」などへ無料で相談することも可能です。これらを活用し、従業員のストレスを解消するためのサポートに努めましょう。

つらい症状が継続する場合は医療機関の受診も必要

ストレスによってつらい症状が続く従業員に対して、医療機関の受診を促すことも人事担当者の責務です。ストレスを放置すると、さまざまな病気を引き起こす原因になることもあります。

場合によって外科的な手術や長期的な入院が必要になるケースがあります。ストレスサインが続いている従業員は、専門の医師の診察を受け、適切な処置を受ける必要があります。

5. 職場でできる従業員のストレス予防対策

企業には、「労働安全衛生法」によって義務づけられている年1回のストレスチェックの実施(常時50人以上の労働者を使用する事業場)はもちろんのこと、ストレスを予防・解消できる環境をつくり、日常的に従業員と実践していくことが求められます。従業員のストレスによるメンタルヘルス不調を防ぐために、以下の対策を実践し、職場環境を整えましょう。

定期的な対話の実施

1on1(上司と従業員が定期的に1対1で行う面談やミーティング)など定期的に対話をする機会を設けることは、ストレスに気づきやすくなり、その原因に直接働きかけることもできます。たとえば、長時間労働がストレスの原因になっていると気づくことができれば、業務量の調整や進め方の指導などを行い、ストレスを軽減できるでしょう。
また、従業員同士で交流できるリフレッシュルームを設けるのも一つの方法です。従業員同士が気軽に対話ができ、コミュニケーションがとれる仕組みをつくることが重要です。

メンタルヘルス研修の実施

従業員にメンタルヘルスを整えることの重要性を理解してもらうために、メンタルヘルス研修を実施することも重要です。研修プログラムでは、メンタルヘルス不調になることで起こりうるトラブルや病気などのリスクや、過去、実際に職場で起きたトラブル事例や相談窓口の情報を共有するのも効果的です。従業員のメンタルヘルス対策に関する知識を向上させ、ストレス対策を実践してもらえる仕組みをつくりましょう。

人員配置の見直し

業務によっては、特定の従業員に身体的負荷がかかる、また、精神的なストレスがかかることがあります。このような場合は、対象のスタッフの業務量や業務内容を踏まえ、人員配置の見直しを検討しましょう。
また、企業には従業員のスキルや能力、適性などを考慮したうえで、適切なタスクを与えられるよう配慮することも求められます。職場内で適宜アンケートを採り、従業員にとって業務負担やストレスがかかりすぎていないかをチェックし、ストレスの予防につなげましょう。

ストレスチェックの実施

ストレスチェックとは、従業員の心理的な負担の程度を把握するものです。定期的にストレス状況について検査をして分析を行います。従業員に対しては、自らのストレスの状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることにつなげていきます。また、集団的に分析することによって、職場環境の改善にもつながるでしょう。

これまで、常時50人以上の労働者を使用する事業場で毎年1回ストレスチェックをすることが義務づけられていましたが、2024年10月10日(木)開催の「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」において、厚生労働省は労働者50名未満の小規模事業所に対しても、ストレスチェックを義務づける方針を決めました。従業員の労働環境を整える意味で重要な制度であるため、実施義務がない事業場でも、メンタルヘルス不調を予防するためにストレスチェックを実施しましょう。

ストレスの「見える化」で気づきを促す

大きなストレスを抱えていても、本人はそのことに気づかず、無理をして体調を崩すことがあります。また、人によっては、ストレスを感じていることを表に出さないことがあるため、周りの人も気づけずに対処が遅れてしまうケースもあります。そのため、ストレスを可視化し、本人や周りの人が認知できる環境をつくることが重要です。ストレス対策についてはこちらの記事もご参照ください。

従業員のストレスを可視化し、一緒に対策を考えるきっかけになる「疲労ストレス計 MF100」

「疲労ストレス計 MF100」は、簡単な4ステップだけで自律神経のバランスと偏差値を示し、「疲労・ストレス度」を可視化できます。従業員自身はもちろん、産業医、管理者も健康管理がしやすくなります。企業側としては、ストレスに悩む従業員に対して早めに声かけをしたり、専門の医療機関の受診を促したりといった対応も可能になります。

また、疲労ストレス計のデータを元に従業員とコミュニケーションをとることで、健康に対する企業の取り組みについても、理解や関心を高めていくアプローチができるでしょう。

疲労ストレス計 MF100とタブレット・スマートフォンの画像

6. 企業ができる従業員のストレス解消法

従業員が抱えるストレスの要因には、「仕事の失敗、責任の発生」などが挙げられますが、企業側としてはこのようなストレスの要因を把握して、対策を行うことが求められます。そのうえでさらに、従業員のストレスを軽減するためにできることを推進していく必要があります。以下の方法を取り入れ、従業員の心と体のリフレッシュを促進し、ワークライフバランスを向上させましょう。

休憩室や仮眠室を設置する

職場に休憩室や仮眠室を設置し、従業員が休息しやすい環境をつくるのも一つの方法です。たとえば、パワーナップ(15〜30分程度の仮眠)をすると、眠気の解消や、仕事における生産性・集中力・判断力の向上が期待できます。パワーナップを従業員に推奨した企業からは、生産性向上につながったという事例報告も複数あります。

[パワーナップのポイント]

  • 起床から6時間後、かつ眠気がピークを迎える14時頃までの仮眠が効果的
  • 夜間の本睡眠に影響しないよう30分以内に抑えること
  • 完全に横にならないこと
  • 仮眠前にカフェインを摂取することで寝覚めがよくなる

運動やストレッチができる環境をつくる

運動やストレッチをすると、ストレス解消につながります。たとえば、以下のような取り組みを導入すると、ストレス解消に効果的です。

  • ラジオ体操やストレッチの時間を設ける
  • スタンディングデスクを導入する
  • スポーツサークルをつくる
  • フィットネスルームを設置する
  • 運動会やスポーツ大会を開催する

上記のイベントを定期的に開催することで、従業員のストレス解消につながるだけでなく、従業員同士の関係性の向上にも役立ちます。

休日を充実させる福利厚生のメニューを設ける

職場におけるストレス軽減に加え、休日にテーマパークや水族館、温泉やキャンプ場といったレジャーを家族と気軽に楽しめるよう、レジャー施設やレンタカーの利用料を割り引く福利厚生のメニューを設けることをおすすめします。

また、上記の他にショッピングやグルメ、映画やカラオケといった娯楽におけるクーポンや特典、割引制度を提供するのも効果的です。福利厚生を充実させるには、現在の福利厚生の利用状況を調べたり、従業員が望むものを社内でアンケートを採ったりして、検討してみるといいでしょう。

この他、適切な労働時間の管理を行い、有給休暇の取得を促す、ハラスメント対策の実施を行う、定期的な面談やサポート体制をつくるなど、労働環境の改善方法はさまざまあります。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

7. まとめ

ストレスを溜めると、心理面や身体面、行動面において影響が出て、仕事や日常生活に支障をきたすことがあります。ストレスの多くは、仕事が関係している可能性があります。そのため、必要に応じて従業員の人員配置を見直したり、定期的にメンタルヘルス研修を実施したりすることが重要です。また、従業員が就業時間中に適度に休める環境を設けたり、休日にリフレッシュする機会をつくったりすることも求められます。従業員の健康を守るためにも、ストレス対策を行い、従業員が明るく元気で働ける職場づくりを目指しましょう。

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