「鍼灸」と「電気温灸器」について

学校法人 呉竹学園 船水隆広 先生

学校法人 呉竹学園 臨床教育研究センター
マネージャー 船水隆広 先生
心身のケアを必要としている人は年々増えています。鍼灸を通じて体と心のサポートをおこなってきた船水先生が出会ったのは簡単に温められるものでした。お灸は、火をつけて温めるもの、煙が出るものという概念をくつがえすような商品。それが電気温灸器です。心身のケアが必要な方は、心も体もとても敏感になっている場合がほとんどです。そんなときに「鍼灸」と「電気温灸器」を使い分けた対応が可能となります。

目的は「体を温めて心身をケアする」

― 一般的に鍼灸の良いところはどんなところだと思われますか?

船水先生 薬等を使わずに、心身に働きかけて様々な症状をやわらげられることだと思います。鍼やお灸などの施術は、繰り返しおこなうことによって、疲れや神経痛の痛み等といったその人が悩んでいる症状をやわらげることができます。特に、今は体も心も弱っている方がとても多いです。私は、体を温めることでみなさんが抱えている悩みをやわらげていければと考えています。

― 先生はどのようなときに体を温める電気温灸器を使いますか?

船水先生 冷え性の方や、熱いお灸が苦手な人に利用します。お灸のこの温熱効果は体に良い影響があると考えています。人間の体にある経絡(けいらく)にはツボがあります。電車で考えると線路は経絡で、駅がツボになります。この経絡にあるツボを、お灸で温めることによって線路に当たる経絡が温まり、体の血行を改善したり、疲労回復をうながしたりします。これまでお灸は点で温めていました。ところが、電気温灸器は、点ではなく線で温めることができます。電気温灸器の先端は点と広い面に分かれているので、「皮膚の広い部分を一度に温めることができる。」そして「温度調節ができる。」この2点が大きな違いだと思っています。さらに、どこでもさっと出せる、だれでも使えるのも大きいです。

― お灸といえば部屋の中でするというイメージがあります。

船水先生 そうですね。これまで、鍼灸院などでは部屋の中でおこなっていました。しかし、院内だけでなく、スポーツの現場などで必要なときもあり、できるだけ早く、そして臭いの少ない方が喜ばれます。その点でも、電気温灸器は、対応し易いと思います。

課題は「細やかな気遣いで体と心身のケアをする」

― 心や体が弱っている方にはどのようなことに気遣っていますか?

船水先生 肌にかかる負担をできるだけ少なくしたいと考えています。私は、うつ病などをはじめメンタルヘルスケアを専門にしています。心が弱っている方は、とても肌が弱く敏感です。少しでも痛みがあると、とても大きな反応があります。そのためできるだけ、痛くない、熱くない、そして効果のわかりやすいものが必要です。また、お灸は怖い・熱いというネガティブなイメージを持っている方も多いです。もちろん、熱いお灸が向いている方もいます。しかし、痛みに弱い方には、温度調節ができる電気温灸器という選択肢もあると思います。そのほかにも、冷えがある女性にもおすすめしています。女性は、跡や臭いを気にされる方が多いので、電気温灸器を用いることがあります。

― 鍼灸は女性の方が多いのでしょうか?

船水先生 最近は、美容鍼灸の影響から女性の方が増えました。冬は寒い日が続くので冷え性の方がたくさん来院されます。患者さんから聞いた話によると、日常のケアなどにも気をつけてみたのですが、なかなか冷えがとれないので相談にきた方という方が多いです。体の冷えは様々なトラブルの原因になります。

― 男性の冷えについてはどうでしょうか?

船水先生 男性は、自分の冷えに気が付かない人が多いのです。東洋医学で考える陰陽の理論でいくと、男が陽で女は陰です。男の人は陽で熱がこもりやすいため、体の上の方に湯気を出しているような人が多いです。だから、自分の冷えに気が付かない方がいるのですが、実は足はすごく冷えている方が多いです。そのため、中高年になると心身の様々な悩みを持たれる方が出てきます。男性にも本当はもっと体を温めてほしいと思います。どちらかといえば、女性は脂肪が多いので冷えやすいのですが、冷えは女性だけの問題ではありません。実は、若い人からお年寄りまで冷えている方はとても多いのです。

― 心身のケアではどのような部分に力を入れていますか?

船水先生 心身が弱っている人には、体の温めに力をいれています。なぜなら、体を温めると緊張が緩みリフレッシュできるからです。体が冷えると体が固まって緊張するため、温めるだけでも気持ちがやわらいでいきます。東洋医学で考えると、気血のめぐりをよくすることは大切と考えています。心身の調子を整えるという意味でも体を温めるのはとても大切なことだと思っています。

― 冷えの強い方はどこを温めますか?

船水先生 東洋医学で考えると、お日様の当たらない部分は陰で冷えが強くなります。例えば、足の裏・内くるぶし・膝の内側などの部分です。この部分を温めると体全体が温まりやすくなります。電気温灸器はどの部分でも使えるのでとても便利です。360度どの角度からでも利用できるからです。最近では、新型コロナウイルスの影響から心身に不安を感じられている方がとても多いです。そういった心身のケアが必要な方にも体を温める鍼灸や電気温灸器を利用できればと思っています。

船水先生コメント

「日々の健康について」

鍼灸は身体の痛みやコリだけでなく、疲れや気分をやわらげることにも優れています。
冷えは身体のバランスが崩れている結果起こります。そこで、鍼灸や電気温灸器を用い日々の冷えを取ることで健康的で快適な生活を維持することが可能となります。